【あ】【か】【さ】【た】【な】【は】【ま】【や】【ら】【わ】

用語

意味

解説

■ あ行

 

【あ】【か】【さ】【た】【な】【は】【ま】【や】【ら】【わ】

揚幕
揚げ幕

【あげまく】
花道の突き当たり、花道と楽屋を仕切る入り口に設置される垂れ幕や暖簾をさす。 ▼劇場の紋入りの幕を使用する劇場もあれば、劇団が持参する劇団の名前や紋入りの幕を使用する劇場もある。
▼ここから奥へ進むと、楽屋や楽屋へ通じる通路に出る。
アドリブ
【あどりぶ】
本来の予定以外の言動やフォローのこと。 ▼大衆演劇では毎日違う演目が行なわれるため、予定外の事態が起こることが多く、得てしてアドリブの重要性が高い。
▼一口にアドリブと言っても、目的や手段により様々な種類のアドリブが存在する。
▼セリフ忘れやセリフ間違いの際、自身または共演者が、修正する場合。
【例:「・・・何を言うのか忘れちまった(照れながら)」→(共演者が)「おめえのセリフがねえと、俺も次へ進めねえだろうが」】
▼大道具・小道具が上手く機能しなかったり、破損・落下・転倒した際にフォローとして使用される場合。
【例:(引き戸がうまく開閉しなかったので)「オイ!この戸、開かねえぞ(ガタガタ揺する)」→(共演者が)「コラコラ!壊すんじゃねえよ!」】
▼喜劇などで観客の反応・ノリが良いため、さらに笑わせる目的で予定外のネタや客イジリを入れる場合。
【例:(芝居中に)「今日のお客さんは何を言っても笑ってくれるねえ!そこの奥さん(観客の一人を指差し)、笑いすぎたらシワが増えちゃうよぉ。」】
▼アドリブは、不測の事態を修正し復帰するという目的だけで行なわれるのではない。劇団の方針や演者にもよるが、観客の盛り上がりに乗じ、座員の調子も上がることで出る確率が高くなりやすい。また、元々お芝居の一部にアドリブや客イジリの時間を設定している場合もある。
▼不意のアドリブを期待するなら、劇団の性格やお芝居の雰囲気を掴んだ上で観客が上手に盛り上げて、面白いセリフやネタを引っ張り出してみよう。
暗転幕
【あんてんまく】
お芝居の場変わり時に使われる、黒色の幕のこと。 ▼お芝居の場面を転換する際にこの暗転幕で舞台を隠し、その間に舞台セットの入れ替えや役者の配置を行なう。
一文字幕
【いちもんじまく】
舞台の上の方にある、丈の短い幕のこと。 ▼客席から舞台上方の照明が見えないようにしたり、舞台の天井から吊り下げている道具やセットを隠すためのもの。
演目
【えんもく】
お芝居の題名のこと。 ▼他に「外題(げだい)」「芸題(げだい・げいだい)」とも言われる。
大入り
【おおいり】
観客動員数が一定の基準に達すること。 ▼どれだけ観客が入れば大入りになるかは、各劇場によって異なる。明確な基準も無く、一回の公演の最大収容人数の70%程度から120%程度までとかなり開きがある。
▼これは劇場・劇団の大入りに対する認識の違いからくるもので、「景気付けとして、できるだけ出したい」という劇場・劇団もあれば、「大入りはそんなに簡単に出すものではない」という劇場・劇団もある。どちらが良い悪いではないという類の話であるが、やはり劇団・観客は大入りが出れば嬉しいもの。その日の公演に活気も出る。
▼大入りの場合は劇団により
手打ちが行なわれ、記念品が配られることもある。記念品と言っても高価なものではなく、ミニタオルやティッシュ、シールのような簡単なものだが、劇団の名前や写真入りの特製品が多く、貴重。
▼昼公演で動員が大入り基準に達した場合は、昼に出る。
▼昼・夜を合わせて基準に達した場合は、夜に出る。
【例を挙げると、大入り基準100名で昼70名・夜30名入った時。】
▼昼公演でギリギリ大入り基準に達していなくても、夜公演の見込みを繰り入れれば基準に達することが確定的な場合、例外的に昼に出ることもある。夜の部の予約数から見込みを割り出す場合もこのようなケースに含まれる。
【例:大入り基準100名で昼に95名入り、夜は常時10名以上の入りがあるため少なくとも5名は確定的と見られる場合。また、昼90名で、夜の予約が10名以上ある場合なども。】
▼大入り基準の150〜200%の動員があれば「大入りダブル」「ダブルの大入り」となる。ダブルの上はトリプル、その上はフォース。いずれも劇場によって基準は違い、大入り基準100人に対し、ダブルが150人と設定しているところもあれば、倍の200と設定しているところもある。
大入り袋
【おおいりぶくろ】
大入りの際に出される記念の袋。少額の現金が入る。 ▼大入り袋は、大入りの感謝の気持ちを表わす為、劇場から劇団に対して出される。大体100円玉が入っていることが多いが、5のつく数字(「ご縁」のニュアンス)の金額だったり、その日の公演の持つ意味合いによって500円・1000円ということもある。
▼基本的には縁起物であるため、高額なのは稀なケース。しかし、毎日のように大入りが続く場合は、それなりの収入にもなりえる。
▼袋そのものは、各劇団が名前や絵、写真の入った独自のものを持っていて、劇場側がそれを受け取りお金を入れて渡すという手順になる。劇場が独自に大入り袋を持っていれば、劇場からはその袋にお金を入れて劇団に渡す。
▼大入り袋は劇場内の一角に、縦や横に繋げていく形で掲示されることが多い。当該劇場で公演を行なった、数ヶ月または過去1年分の各劇団の大入りの模様が並べて掲示される劇場が多く、その場合は各劇団の集客力が比較されることになる。ここにも劇場の裁量が現れ、あまりにも他の劇団より少ない劇団があれば、大入り基準100人であっても60〜70人で大入りを出すところもある。逆に、シビアな劇場はそのような融通は効かない。あえてその月の大入りのみを掲示する劇場もある。
送り出し
【おくりだし】
公演終了後、座員総出で観客のお見送りをすること。 ▼大衆演劇の特長のひとつ。観客はこの時、座員と握手をしたり、写真を撮ったり、会話をしたりすることができる。
▼写真に関して、
オッカケなどで座員と仲良くなれば、ファンが自分のケータイを座員に渡し、座員に「自分取り」をしてもらえたり、メッセージ動画を撮らせてもらえたりもする。
▼ただし長時間の座員の独占は禁物。他にも話をしたい観客がいるかもしれないし、座員も3時間の公演を終え疲労も大きいので。あまり座員に粘着するとみんなに嫌われ、あとで2chとかで叩かれることになるのでご注意を。
お芝居
【おしばい】
劇。大衆演劇では毎日違う演目を行う。 ▼公演のオープニング、主に第一部に組み込まれる。第一部にお芝居、第二部に歌と踊りのショーという流れは、ドリフの「8時だヨ!全員集合!」とよく似た流れ。ただしミニショーをオープニングに持ってくる劇団では第二部。大衆演劇では原則として毎日違う芝居を演じるため、劇団は稽古が大変。
▼劇団によっては、一回の公演でお芝居を二回行う場合もある。この場合、最初のお芝居を「前狂言(まえきょうげん)」、二つ目のお芝居を「切狂言(きりきょうげん)」と称する。こうなると稽古や段取りがもっと大変。
▼お芝居中は劇団から了承をもらっていない限り、ほぼ例外なく撮影禁止なのでご注意を。
オッカケ
追っかけ
追っ掛け

【おっかけ】
劇団や特定の座員のファンで、遠方の公演場所まで足を運んだり、公演場所が近ければ毎日のように通う人のこと。 ▼劇団には少なからずこのオッカケが存在する。
▼遠方から航空機や新幹線・船舶・自家用車を使って、泊り掛けで観劇する猛者も多い。
▼オッカケの目的は当然に、足繁く観劇に通って観劇料を支払って劇団に貢献し、公演を盛り上げ、ファンとして劇団・座員と仲良くなること。それ以外にもお花を渡したり知人を観劇に連れてきたり、また最近ではインターネットを活用しファン同士の交流や情報交換、果ては座員の代理として公認・公式サイトの作成管理を行なってみたりと、劇団側のメリットも多大。ある意味サポーターとも言える。経済的な援助に力を入れるファンについては「
贔屓」と呼び、オッカケとはまた一線を画する扱いとなる。
▼しかし、中には男女関係や(擬似・思い込み含む)恋愛関係による独占欲・嫉妬心からトラブルを引き起こすオッカケもいて、劇団や他のファンの足を引っ張ることも。
お花
【おはな】
ファンが座員に渡す、金品等のプレゼントのこと。「ご祝儀」とも言われる。 ▼このお花、大衆演劇では何と舞踊の最中にも渡される。座員もよく心得ていて、自分にお花を渡そうとして舞台に近寄る客がいるのを確認すると、座員も近寄って膝を折り、受け取る。
▼ただし、演舞中とはいえ、渡せるのは「単独」舞踊・歌謡ショーの際に限られる。集団舞踊や芝居中だと、その流れを止めてしまい他の観客や座員に対する迷惑行為となってしまうため。
▼渡すタイミングとしては、単独演舞中で、かつ、曲のサビ等の盛り上がりの無い、静かな展開の部分。あくまで、お花を渡す数秒の間、舞踊や歌謡の手を止めさせてしまうことを念頭に置いてタイミングをはかるべき。恐らく、タイミングがよほどまずければ、座員もその時には受け取らない(受け取れない)だろう。手馴れた観客は、踊りの流れをよく把握していて、静かな伴奏部分など「静」の部分で渡しに行く。
▼お花の内容は様々。お目当ての座員に対し、裸のままのお札を髪留めで襟元に挟んだり、お金を封筒に入れて襟元や帯に差し込んだり、紙袋に食べ物や衣類、アクセ等を入れて渡したり。
▼金額的には数百円〜数万円。お札をフラワーレイ状に繋ぎ合わせ、首からかけたりすることもあるが、バブル後はやや減少した。一万円札を襟元や帯に差し込むのが多いようだが、5〜10枚の万札を団扇状に貼り付けて襟元にヘアクリップで付けるのも比較的よく見られる。
▼座長・花形がよくお花をもらうが、誰に渡そうが、何人に渡そうが、渡す側の自由。
▼あくまで気持ちのものなので、金額競争にならないようにするのがよろしいかと。公演中に渡せなかった場合や恥ずかしい場合は、公演終了後の
送り出しの際に渡すのもOK。また、(嫌味なほど)高額なお花の場合は、公演終了後に渡すのも配慮のひとつ。お花を渡す側のモラルが問われる部分でもある。
女形
【おんながた】
【おやま】
男性が女装をすること。またはその状態で演舞を行なうこと。 ▼大衆演劇の人気要素のひとつ。女形舞踊が無ければ公演として成立しないほどの重要な位置にある。大衆演劇ファンは女形見たさに観劇に向かうと言っても過言ではない。
▼本来は「おやま」と読むのだが、近年では浸透せず「おんながた」とそのまま読む読み方が主流。伝統芸能の世界では「おやま」と呼ぶ分野もある。
▼座長・花形クラスになると、この女形を演じる実力も高い。逆に言えば、女形の評判も高い人が、座長や花形として活躍していく傾向がある。
▼素ではかなりゴツ目の男性座員が、上手に女装すると原型をとどめない美しさを醸し出すことも多く、驚かされる。宝塚歌劇で女性が男性の役をこなすことで人気を博しているように、大衆演劇では男性の役者が女形を見せることが、高いウエイトを占めている。
▼立ち居振る舞いの美しさや化粧・衣装ばかりでなく、静止する後姿ひとつでも女性の美しさ、艶やかさを表現できる人が一流と言われる。
■ か行  

【あ】【か】【さ】【た】【な】【は】【ま】【や】【ら】【わ】

楽屋
【がくや】
座員が演目の準備、化粧、更衣、休憩、寝泊りをするところ。 ▼関係者以外立ち入り禁止。
▼劇場などでは、座員が寝泊りするスペースとして利用されることも多い。
劇場センターにより、楽屋の充実度や環境がまったく違う。シャワールームや洗濯機、エアコンが自由に使える施設は意外と少ないらしい。口ではとても言えないような悲惨な楽屋の施設もある。地方のセンターや歴史ある(=古い)劇場などでの寝泊りはまさにタコ部屋状態で、小銭を入れないと作動しないエアコン・TV・洗濯機に、ネズミやゴッキー、ナメクジにムカデが常駐しているところも多数。ただ、センターなどはおおかた入浴設備が整っているので、その点では座員が喜ぶ。
歌謡ショー
【かようしょー】
座員が歌を歌うショー。 ▼座員が自慢の歌を披露する。座長がメインで歌う劇団もあれば、花形・若手などがどんどん歌う劇団もある。
▼数ある劇団には、プロ顔負けのノド自慢がいて、中には実際にプロ歌手としてCDのリリースなど本格的に活動している人もいるぐらい。
▼単独での歌唱がメインなので、
お花を渡すチャンスでもある。
▼観客がペンライトを好んで振るのも座長の歌謡の際が多い。
▼歌を歌いながら客席に握手をして回るサービスをする劇団も。

【き】
拍子木を打つこと。 ▼芝居の盛り上がりの部分、役者が見得を切りキメ台詞を吐く直前などに「チョン!」または「チョンチョン!」と打たれる。
▼最近では音声担当がカセットテープや機械に録った柝の音を流すことも多い。
▼柝のタイミングは決まっていて、幕開けの際の「きざみ」「留め柝」やエンディングに向けての「予備柝(呼び柝)」「一の柝」「二の柝」などがある。
木戸
【きど】
劇場の出入り口のこと。 ▼多くはここでチケットの販売や入場の際のチケット提出を行なう。基本的には劇場側がチケットを販売し、劇団側が入場者からチケットの受け取りを行なう。
▼劇団・劇場関係者が「木戸入ります」「木戸行きます」と言えば、(休憩や他の業務を終えて)入場口へ行きキップ係の業務に入ることを指す。
木戸銭
【きどせん】
入場料・観劇料のこと。 ▼当日券では1,000円〜2,000円。劇場の設備・環境や立地によって様々。
木戸番
【きどばん】
チケットを回収するキップ係(モギリ)のこと。 モギリ
モギリ屋
劇場
【げきじょう】
演劇や舞台芸術を行なう専用施設のこと。 ▼宿泊や入浴等、他の利用目的のある「センター」と違い、あくまで観劇のみの目的で観客が集まる。
▼おおむね大道具・小道具の準備、楽屋の配置といった条件が揃っている。
▼多くは「
常打ち」と言われる、年中公演を行なうタイプのものが主流。ただ、地域や集客力により、不定期に上演する劇場もある。
劇団幕
【げきだんまく】
舞台の両サイドや舞台奥に掛けられる、劇団名や座長・座員名の書かれた(刺繍された)幕のこと。 ▼基本的には贔屓から贈られたもの。
▼別名「ふんどし」とも呼ばれる。
外題
【げだい】
お芝居の題名のこと。 ▼別名「芸題」。「演目」も同意。
口上
口上挨拶

【こうじょう】
【こうじょうあいさつ】
幕間に行なわれる挨拶のこと。 ▼観客への来場感謝の挨拶、翌日の予定、人気ショーの告知、劇団グッズの販売、前売券の販売等、劇団により内容は様々。
▼口上挨拶を行なうのは、おおむね座長や太夫元、花形クラスが多く、えてしてトークも上手。
▼たまに観客との対話、客イジリが行なわれることもあり、楽しみのひとつ。
▼既に大入りが決定している場合は、手打ち(三本締め)も行われることがある。
柿落とし
こけら落とし
【こけらおとし】
劇場のオープンに際して催される公演のこと。 ▼元々は、新築した劇場の屋根に残った木屑を払い落とす作業の後、晴れてオープンしていたことによる。
▼新築だけでなく、大幅な改築を施しリニューアルした場合にも、柿落としと表現する場合がある。
▼ちなみに「こけら」の字は、厳密には果物の「かき」ではなく、常用漢字としては登録されていない、ややこしい字。
■ さ行  

【あ】【か】【さ】【た】【な】【は】【ま】【や】【ら】【わ】

桟敷席
【さじきせき】
舞台近くや花道横に設けられる、他の客席とは一段高い位置の板の間のこと。 ▼上席のひとつで、椅子席とは違い板の間に座る形になる。おおむね舞台・花道とほぼ同じ高さに設置されている。そのため、演者との距離が近い。
▼客席の全てが板の間もしくは椅子席の劇場・センターでは、桟敷席の配置が無いこともある。
▼上席であるため、200〜300円程度の追加料金が必要。
▼舞台・花道に近く、椅子席より高い位置にあるため、
お花を渡しやすい。また、最近では平らなスペースを生かし、車椅子での観劇ができる劇場も増えている。
座長
【ざちょう】
劇団の長。 ▼人気・実力・統率力・経営力といった、全てにおいて他の座員を凌駕する実力がなければ、なかなか座長にはなれない。
▼「
太夫元」を兼務する場合も多い。
▼自身が役者として演じるだけでなく、芝居やショーの演出・指導も行なう。これに加えて劇団の経営、指揮命令、渉外(交渉ごと)、様々なトラブルの処理・回避、ファン・贔屓・支援者対応など、とにかく仕事が多い。休日でも他劇団へのゲスト出演に駆けつけたりするし、体調不良でも公演を休むこともままならず、まさに激務。
▼大衆演劇の世界では、座長は世襲制が一般的。従って血族から外れる座員が座長になるためには独立し新規劇団の旗揚げが必要な場合が多い。養子縁組による座長継承などもあったりする。
▼若年ファンの増加とともに座長襲名時期も低年齢化しており、10代での襲名も珍しいことではなくなった。
座長大会
【ざちょうたいかい】
各劇団の座長が集まる、オールスター的な公演のこと。 ▼座長大会が開催される理由としては多様。以下に羅列する。 ◆新座長の襲名披露◆新規劇団立ち上げ◆劇団創立○周年記念◆座長襲名○周年記念◆劇場・センターのオープン・こけら落とし◆劇場・センター開設○周年記念◆大物役者の○回忌◆各演劇協会主催の定例大会◆チャリティー公演 など。
▼座長大会はオールスター大会的なイベントとなるので、料金は割高。総じて一万円前後が多い。とはいえファンにしてみれば贔屓にしている座長の晴れ舞台であるので、ここぞとばかりに駆けつけ
お花をつける。DVD化される大会も多い。
芝居
【しばい】
劇。大衆演劇では毎日違う演目を行う。 お芝居
常打ち
【じょううち】
一年を通し、常に公演を行なっていること、またはその状態の劇場。 劇場は演劇の公演が、唯一と言えるほどの主目的であるため、この「常打ち」劇場であることがほとんど。
▼逆に公演を行なわない期間(休館期間)のある不定期開催の劇場は常打ちとは呼ばない。集客力や立地条件、運営方針が表れる部分。劇場によっては、大衆演劇ばかりでなく、他の舞台芸術や歌手による公演を行なうこともある。
定式幕
【じょうしきまく】
橙色・緑色・黒色の三色の縦縞模様の幕。 ▼正式には橙色→柿色、緑色→萌葱色、黒色である。
▼「お○ぎりせ○べい」「永○園のお茶漬け」の色使いのアレを想像して頂くとイメージしやすい。
▼上下に開閉する緞帳と違い、左から右に(逆もあり)開閉する。劇団や座長によっては、一定の開閉方向にこだわる場合もある。
ショー割引
【しょーわりびき】
お芝居を観ず、後半のショーのみを観るための割引のこと。 ▼別名「ショー割(しょーわり)」「ショーワリ」。あくまでオマケ的な位置づけだが、常連客の中には好んで利用する人も多い。
▼第二部(ミニショーを行う公演の場合は第三部)の歌謡・舞踊ショーのみの観覧なので、正規料金の半額前後で入場できる。
▼常連客が安い料金で何度も観るために利用したり、一見客が現在公演中の劇団の雰囲気を確かめる目的で利用したり、お芝居に間に合わなかった客が利用したりと様々な使い道がある。
オッカケの中にはお芝居よりも、お目当ての役者が踊ったり歌ったりするのを好んで観覧する人もいるので、そんな人にも便利。
千秋楽
千穐楽
【せんしゅうらく】
公演日程の最終日のこと。 ▼別名「楽日(らくび)」「楽(らく)」。
▼劇場での千秋楽は、夜公演は行なわず、昼公演で最終となることが通常。昼公演終了後、劇団は次の公演先へ出発するため、荷物・機材の搬出を行なう。昼公演の最中も、輸送業者による搬出作業が行なわれたりしているが、千穐楽の前夜にもかなりの荷物をトラックに移動させておいたりする。
▼初日および千秋楽は
贔屓オッカケが好んで観劇に訪れるため、混雑しやすい。従って大入りが出る確率が非常に高い。まともに座って観ようと思えば、事前に席の予約が必要(数百円の課金あり)。数ヶ月前から既に予約が入っていることもある。千穐楽は特に、お別れイベント的な意味合いもあるため、落ち着いて楽しむというよりも、様々な感情の交錯する特殊な公演に「参加する」意味合いが強くなる場合もある。
先生
【せんせい】
劇団で演劇指導を行なう人の呼称。 ▼多くは演技指導に当たっている座長、または引退した先代座長やベテランの元役者のこと。あくまでこの呼称は座員や劇場関係者が使用する内部的なもので、外部者が使うのは贔屓、追っかけレベル。
センター
【せんたー】
宿泊・入浴施設に併設される、観劇設備の総称。 ▼旅館・ホテル・大型銭湯・健康ランド等に、併設もしくは設備の一部として配置される観劇設備を総称してこのように呼ぶ。
▼昼・夜2回公演を主とする
劇場に対し、センターでは昼のみの公演の場合や、夜にショーのみ(芝居なし)の公演を行なう場合があるため、事前に確認が必要。また、芝居とショーの間にランチ・ディナータイムを設定し食事とのセット料金が基本設定となる場合もある。
▼観劇を目的として来館する人以外に、宿泊や入浴のついでに観劇する人も多いので、観客の全てが大衆演劇を目的として来館しているとは限らない。
▼入館時点ですでに、宿泊料や入館料、入湯料の徴収を行なっている(またはチェックアウト時に精算予定)ため、観劇自体は劇場よりも安く観劇できる。
▼センターでは宿泊客や入浴・食事客が冷やかしで観劇することもあり、泥酔客がいたり平気で私語にいそしむ客がいたりと、観劇マナーにおいては難しい部分がある。ただ、演劇の上演に力を入れているセンターでは、スタッフの教育や設備も整っており、正しく観劇できる雰囲気がある。

【そで】
舞台の脇にある小部屋。 ▼舞台袖とも言われる。次に出てくる役者が待機したり、舞台からはけた役者が入ったりする。
袖幕
【そでまく】
舞台と袖を仕切る黒い幕。 ▼袖幕は基本的に黒色で、目立たないようにしている。
▼袖幕を吊るしている鉄製のポールと袖幕とは、鉄製のリングで繋がれており、勢いよく幕を開閉すると「シャーッ」とイイ音がする。これはあえてポールとリングの材質・表面処理を適度に荒くすることで、袖幕の開閉の音を観客に聞かせるため。この音がすると役者が颯爽と現れ、盛り上がる。
▼ちなみに静かに舞台から下がる場合は、袖幕を通過せずに奥の仕切りの無いところを通る。
■ た行  

【あ】【か】【さ】【た】【な】【は】【ま】【や】【ら】【わ】

太夫元
大夫元

【たゆうもと】
【だゆうもと】
【たゆもと】
【たいもと】
劇団の総責任者。劇団オーナー。 ▼企業で言えば社長・会長格。座長が兼務することも多いが、座長を退いた先代座長やファミリーのトップが総責任者として太夫元となる場合もある。
手打ち
【てうち】
大入りの際に行なわれる手拍子。 大入りが出た日の公演中、幕間や口上、終了後の挨拶時に、おおむね三本締めの形で柝に合わせ手拍子(3・3・7拍子など)を打つ。
▼ダブルの大入りの場合、六本締めにしたりすることも。
緞帳
【どんちょう】
舞台と客席の空間を仕切る厚めの幕のこと。 ▼緞帳は劇場名や刺繍などの装飾が施され、豪華な感じ。ただ、最近ではこの緞帳を持たず、定式幕でこれを代替する劇場も増えている。定式幕の方が、大衆演劇の雰囲気が伝わりやすいということもある。歴史のある劇場では、劇場名、鶴、日の出や山河などの装飾が施された立派な緞帳を備えている。
■ な行  

【あ】【か】【さ】【た】【な】【は】【ま】【や】【ら】【わ】


【のぼり】
劇場の外、出入り口付近に設置される布製の幟。 ▼劇団名の他にも、座長や座員名の幟がある。
▼基本的にはファン・贔屓や他の劇団座長から贈られ、その場合は贈った座長・ファン・贔屓の名前も下端に書かれている。「関西ファン一同より」など。
■ は行  

【あ】【か】【さ】【た】【な】【は】【ま】【や】【ら】【わ】


【ば】
お芝居の場面の一区切りのこと。 ▼「そば屋の中」「川縁の屋台前」「野原」など、お芝居の一場面を「場」と呼ぶ。
▼お芝居が「三場」であれば、三種類の場が表現される。例えば「【店の中】でお芝居の導入をする場面」→「【店の外】でトラブル発生の場面」→「【街道】で決闘とエンディングの場面」など。各「場」の変わる際には、暗転幕や定式幕を引いて舞台を隠し、その間にセットの入れ替え等を行なう。
▼お芝居が「一幕三場」であれば、休憩を挟まず、二回の場変わりがあるということ。
場変わり
【ばがわり】
お芝居中の場面転換のこと。 ▼お芝居中に場面転換する際には、暗転幕(暗幕)を引いて舞台を隠し、その間にセットの入れ替え等を行なう。おおむね3〜5分といったところ。
▼手馴れた劇団だと、この場変わりの時間が短く、静かに行なう。逆に、場変わりの時間がやたら長かったり、ドタンバタンと大きな音を出したり、セット入れ替えの指示を出す声が聞こえてきたりする場合は、まだ手馴れてないか、久しぶりのお芝居なのか、時間に追われているか、単に劇団が下手か、そのあたり。
▼場変わりの際には、セットの入れ替え等の音が目立たないよう大き目の音量でBGMを流す。
▼実はこの際に舞台上で台詞の確認や立ち回りの練習をしていることもある。

【はな】
ファンがお目当ての座員に渡すご祝儀。「お花」とも。 →「お花
花形
【はながた】
若手の一番人気の座員。 ▼花形は劇団によっては複数存在することがある。ただし基本的には、あくまで観る側からの呼称・評価。劇団サイドから特定の座員を指して「花形」と言うことは少ない。
花道
【はなみち】
舞台から客席後方へと延びる通路。 ▼舞台と同じ高さであるので、観客席よりも高い位置に配置される。芝居や舞踊では必ずと言っていいほど使用される。そのため、客席の前列と、花道に近い席が上席と言える。
▼舞踊中の役者が花道に来て踊る時も、
お花を渡すチャンス。
はんちょう
【はんちょう】
舞踊やお芝居の際などに、観客がタイミングよく声を掛けること。 ▼別名「はんちょ」「ハンチョ」。舞踊に出てきた時や見得を切った時、また、お芝居の最中の決めゼリフが出たところで「座長!」とか「○ちゃん!」とか、名前などを叫ぶ。タイミングが重要で、変なタイミングで掛けてしまうと、その後の決めゼリフが白々しくなるので注意。お芝居の流れを良く知る常連が上手にやるのを聞いて勉強するのも良い。
贔屓
【ひいき】
劇団や座員のファンで、かつ金銭的な援助も積極的に行なう人。 オッカケよりもさらに劇団に近いファン。お花を始めとして、劇団の幟や幕の贈呈など、経済的な援助を積極的に行なう。
▼逆に、劇団に近寄りすぎて他のオッカケやファンから嫌がられる存在となることもあり、そんな贔屓の事を揶揄され「大贔屓(おおびいき)」と呼ばれることもある。
▼劇団には厳しい経営状態のところも多く、贔屓の存在抜きには存続が危ういケースもある。劇団によっては贔屓が経営上の命綱的な役割を果たすこともあるくらい。多くの贔屓たちは劇団の立ち上げ当初や経営の苦しい時をともに過ごしたという実感を持っていたりして、他のオッカケやファンよりも、精神的な結びつきが遥かに強かったりする。
拍子木
【ひょうしぎ】
柝を打つための木の棒。 ▼樫製で、2本の拍子木を打ち合わせると、甲高く切れのある音が出る。
▼「火の用心!」で打ってるアレも同じ。
舞踊ショー
【ぶようしょー】
歌謡曲や民謡に合わせて、座員が踊りを披露するショーのこと。 ▼個人舞踊や団体舞踊など、おおむねお芝居・休憩の後に行なわれる。最近では若いファンが増えているため、流行のロックやポップスに合わせて今風の踊りをする劇団・座員もある。
▼右の画像は、男女で踊る「相舞踊」と呼ばれるもの。愛憎や出会い・別離など、男女の複雑な心情を歌に合わせて踊りで表現する。
▼単独舞踊の場合なら、
お花を渡すチャンス。
▼一連の舞踊にテーマを与えて全体の構成とする場合もある。例えば特定の歌手の歌謡ばかりを使用する場合。「美空ひばりショー」「鳥羽一郎メドレー」など。
ペンライト
【ぺんらいと】
色とりどりの光を放つ応援用のライト。 ▼厳密に言うペンライトは、長さ30〜50センチの棒状のもので、数段に色分けされていて、それらが交互に光を放つ。価格はタイプによるが数百円程度。
▼他にもハート型の電飾タイプや、ゴム製の指輪タイプ、ウチワ状のもの、ボタンを押すと回転しながら光るタイプなど様々な種類がある。劇場で売っていたり、劇団が売っていたりする。電飾ライトはデパートやスーパーのおもちゃ売り場でも売っている。案外、子ども用のおもちゃの方が、バリエーションや光り方が派手だったり、形が珍しかったりして目立つ。
▼主として座長の歌謡の際に盛んにペンライトが振られる。
■ ま行  

【あ】【か】【さ】【た】【な】【は】【ま】【や】【ら】【わ】


【まく】
舞台と客席を仕切るためのものや、劇団名を刺繍したもの、またはお芝居の中での大きな区切りの事など、色々ある。 ▼暗転幕、背景幕、一文字幕、劇団幕などの布製のものを指す場合と、お芝居の中での大きな区切りとしても、「幕」と呼ぶ。
▼お芝居が「二幕六場」であれば、一旦幕を下ろして休憩が入るお芝居の中で、四回の場変わりがあるということ。六場なのに場変わり四回になるのは、最初の場と、幕間に一度場変わりを済ませる分、場数より2を減ずることになるため。
幕間
【まくま】
【まくあい】
お芝居・ショー・ミニショーの間の口上や休憩の時間。 ▼お芝居が二幕以上で行なわれる場合の、第一幕と第二幕の間も「幕間」となる。
ミニショー
【みにしょー】
劇団の挨拶を兼ねた、20〜30分程度のショー。 ▼別名「顔見世」「パッケージショー」。第一部としてお芝居の前に行なうことが多い。内容は個人舞踊、集団舞踊や小芝居など、多様。
▼最近ではミニショーを行なう劇団はやや減少傾向。その分の時間を後半の舞踊・歌謡ショーに回しているようだ。前半にミニショー及びお芝居を入れると、後半の舞踊・歌謡ショーの時間が減少し、
ショー割引で入場する人に割高感が発生するというデメリットがあることも、理由のひとつとなりうる。
▼逆にミニショーに力を入れている劇団もある。ショー割引はオマケであるので、正規料金を支払った観客へのサービスの意味もある。そのようなわけで、各劇団のスタンスが現れる部分でもある。
▼また、その日によってミニショーをやったりやらなかったりという劇団もある。これは通常より時間の長いお芝居を予定している際に、時間調整のためにミニショーを省いて定刻終了に持っていく場合などがそのケースだ。
モギリ
【もぎり】
チケットの受取のこと。 ▼半券方式のチケットを、千切ることを「もぎる」と言っていたことが元となっている。「木戸番」も同じような意味。
▼基本的には、チケットの販売を劇場側が行い、チケットの受け取り(モギリ)は劇団側が行なう。これは劇場側のチケ販売の不正申告を防ぐため。100人入ったのに、劇団には80人と申告して、20人分の観劇料を劇場側が搾取する、なんてこともありえるから。実際には劇団側も観客数を読むのが上手なので、大胆な不正は行ないにくい構造にはなっているが、一人や二人の違いまでは見抜きにくいこともある。
モギリ屋
もぎり屋

【もぎりや】
チケットの受取をする人。キップ屋さん。 ▼人員配置の問題で、劇団側がモギリに回す人員が確保できない場合など、この「モギリ屋さん」を劇団が雇い、チケットの売上管理をしてもらう。
▼基本的にはあくまでチケット管理のみを行うのがモギリ屋さんの仕事だが、いわゆるモギリだけでなく、例外的に観客への対応や誘導なども行ってくれるモギリ屋さんもいる。
▼モギリ屋さんは仕事柄、多数の劇団・劇場・観客と接するため大衆演劇業界全般に詳しく、知識豊富で劇団・劇場双方にとって大変なメリットがある。劇団・劇場運営上のテクニック、リスクマネジメント、トラブルシューティングといった技術にも長けており、業界には欠かせない存在と言える。
▼もちろん、モギリのみを行い、他の事は全くしないモギリ屋さんもいるが、これはサボってるとかではなく、与えられた仕事をきちんとこなしているだけの話。本来はモギリ以外のことはしなくていい。色々お手伝いしてくれるモギリ屋さんは、あくまで例外と言える。
■ や行  

【あ】【か】【さ】【た】【な】【は】【ま】【や】【ら】【わ】

■ ら行  

【あ】【か】【さ】【た】【な】【は】【ま】【や】【ら】【わ】


【らく】
公演日程の最終日のこと。 →「千秋楽
楽日
【らくび】
公演日程の最終日のこと。 →「千秋楽
ラストショー
【らすとしょー】
公演の最後に行なわれる、座員総出のショー。 ▼座員が総出で参加するため、かなり迫力とスケールのあるショーが多い。ミュージカル的なもの、チャンバラ的なもの、お芝居的なもの、ダンスショーなど、色々。
▼多くの劇団が採用しているメジャーなラストショーといえば「梅川・忠兵衛」「お梶・籐十郎」「幡随院長兵衛」「決闘・高田の馬場」など。同じショー名であっても、各劇団で味付けが異なるため個性がよく出る。また、女形ショーや豪華絢爛な花魁ショーも人気。
▼右の画像は太鼓ショー。迫力・威圧感は大変なもの。叩く座員も大変で、最後はヘトヘト、汗が滴り落ちている。そんな汗まみれで頑張る座員に共感しやすいのも人気のひとつかも。
▼太鼓だけでなく、他の楽器と組み合わせたりして、劇団によって個性が出るところでもある。
■ わ行  

【あ】【か】【さ】【た】【な】【は】【ま】【や】【ら】【わ】

     

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